オーバーツーリズムとは、観光地や特定の地域・イベントなどに観光客が集中することにより、地元住民の生活や自然環境、さらには観光客自身にも悪影響をあたえる現象を指し、日本語では「観光公害」とも呼ばれます。
今回はオーバーツーリズムの問題点と対策を調べ、路面標示が活用される事例をご紹介いたします。
理由1:観光がしやすい環境になっている
LCC(格安航空会社)の規模拡大により、安い費用で旅行に行けるようになりました。
また、キャッシュレス決済・スマートフォンの翻訳機能の普及など、テクノロジーの進歩により、気軽に外国へ行けるようになったことで、世界の観光地に人が集まるようになりました。
理由2:為替の影響で日本旅行は安い
日本国内への訪日外国人の増加については、為替の影響も大きいといえます。
現在の日本円は他国の通貨と比較して安い傾向にあり、安い費用で質の高い旅行が出来ることから、日本旅行は人気となっています。
理由3:SNS(ソーシャルメディア)の普及
インスタグラム等のSNSが普及したことにより、「同じ場所へ行きたい」・「同じ写真を撮りたい」という人が急増し、特定の観光地(特定の撮影ポイント)に人が殺到することにつながっています。
観光地周辺の交通渋滞
自動車で訪れる観光客が多い地域(京都など)で問題になるのが「渋滞」です。
とくに、駐車場を探してゆっくりウロウロする「うろつき運転」による渋滞は周辺住民の生活に影響を及ぼし、観光客の安全性も損ないます。
↓対策
パークアンドライドの推進
郊外の駐車場に駐車し、シャトルバスなどで観光地へ移動する「パークアンドライド」を推進し、観光地への自動車の流入を抑止します。
駐車場の予約制導入
駐車場を事前予約する制度を導入することにより、あてもなく駐車場を探し回る行為を防止して、渋滞緩和につながります。
公共交通の混雑
電車や路線バスなどの公共交通を利用する観光客が増加することにより、沿線の住民が利用しづらくなります。
また、乗車チケットを求める人が殺到することで、切符売り場や乗降場所が混雑し、事故やトラブルの原因になります。
↓対策
移動手段の分散 と 輸送力の増強
観光客が集中する路線バスから電車への分散・乗り換えを推進することで混雑緩和を目指すほか、一度にたくさん乗れる「連接バス」や「乗合タクシー」などの導入による輸送力増強が図られています。
スムーズな乗り降りの実現
キャッシュレス決済やタクシー配車アプリなどの導入により、外国人観光客でもスムーズな乗り降りが可能になることで、、乗降場所の混雑を緩和します。
観光客のマナー問題
「ゴミのポイ捨て」・「行列に割り込む」・「撮影禁止を守らない」・「文化財に触る」・「私有地に侵入する」など、観光地では観光客のマナーの悪さが目立ちます。
とくに外国人観光客は、文化や習慣の違いから意図せずトラブルにつながる場合があります。
↓対策
マナー違反行為をわかりやすく啓発
看板やデジタルサイネージを設置してマナー周知を推進しています。
設置にあたっては「多国語表記」や「統一のピクトグラム」により、外国人にもわかりやすいよう配慮しています。
自然環境への影響
自然環境や歴史文化を体験する観光(エコツーリズム)が人気になっています。
しかし、本来の定義である「対象となる地域の自然環境や歴史文化の保全に責任を持つ」ことがないがしろにされ「自然や文化を楽しむ」ことだけを求める観光客が増加しました。
その結果ゴミのポイ捨てや、自然を踏み荒らすなどの自然破壊が問題になっています。
↓対策
正しい「エコツーリズム」の推進
「観光客自身が環境保全に責任を持つ」というエコツーリズムを推進するため、注意看板設置などの啓発活動を行っています。
また、「エコツーリズム推進法」や「自然公園法」に基づいて、入域規制やガイドの同伴を義務付けたり、過剰に人が集中しないよう「入域料」を導入する観光地もあります。
路面標示を用いた対策には、「スムーズに移動できる誘導案内」や「誰にでもわかる注意喚起」があります。
「多国語表記」や「ピクトグラム」を用いて、外国人観光客でも内容がわかるようにしています。
日本の景気が停滞しているなかで、海外からのインバウンド需要を背景に活気のある観光業は、地域活性化や雇用の増大が期待される重要な成長分野です。
外国人だけが悪いということはなく、私たちも旅行へ行く際には、周囲に迷惑をかけないようルールを守って観光を楽しみたいですね。
地元住民の生活や観光地の環境を守りながら、より多くの人が日本観光を楽しめるよう、十分な対策がされるよう願うと同時に、路面標示が出来ることを考えて行きたいと思います。
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