路面標示デザインの考え方
路面標示のデザインを決める際に、どのようなことを考えていますか?「赤と黄と緑の配色にしよう。」「書体はゴシック体を選ぼう。」「漢字で文字を表現しよう」など様々な事を考えてデザインを決めているかと思います。
もし勝手気ままに路面標示をデザインした場合、「目立つこと無く気づかれない」「明朝体が読みづらい」「幼児は漢字が読めない」など、路面標示として機能しない可能性がおきます。
それを避けるために、路面標示のデザインに影響を与える「設置目的、対象者、設置環境、配色、書体」などの基本となるデザインの考え方を知る必要があります。この記事では「書体」別のデザインの考え方をご紹介します。
目次
路面標示は、主に対象者へ必要な情報を伝達するという目的で設置されます。例えば「車のスピードを落として欲しい」「観光客を美術館へ誘導したい」「スポーツイベントを告知したい」などです。
的確に情報を伝達するには、「図や文字が認識できる。図や文字が読める。」つまり「視認性・可読性」が重要です。
この「視認性」とは路面標示が発見しやすいことや目立つことを示し、「可読性」とは路面標示の図や文字が見みえる、読めることを示しています。「視認性・可読性」の両方を兼ね揃えたデザインにすると的確に情報伝達ができます。
上図のような「設置目的、対象者、設置環境、配色、書体」など様々な構成要素を考えながらデザインをすると「視認性・可読性」を満たす路面標示となります。
この後は、可読性に影響のある「書体」別の日本語書体・英語書体の種類やその選び方、書体のウエイト(太さ)の種類やその選び方の、基本的な考え方をご紹介します。路面標示デザインを決める際に、参考になればと思います。
日本語書体の種類は、「明朝体」と「ゴシック体」、「筆書体」、「デザイン書体」に大別ができます。書体によりデザインが大きく違うので特長を理解しましょう。
路面標示の主な目的である情報伝達を考えた場合、明朝体や筆書体、その他の書体をデザインに使用することは好ましくありません。読みにくく、読み間違えも多い書体だからです。
もちろん設置目的によって、これらの書体を使う場面も出てくることはありますが、基本的にはシンプルで可読性の高いゴシック体がお勧めです。自己満足ではなく、対象者への配慮として書体を選ぶことが大切です。
明朝体の路面標示を手前から視認した場合、横線が細く可読性が低くなり、書体選択としてお勧めできない。
書体の太さを表す呼称として、よく使われるのは「ウエイト」です。書体の文字の太さは、デザインされた書体によってまちまちですが、書体開発・販売元では独自の基準を設けて、分類を分けています。
表現例として「W1・W2・W3・W4・W5・W6・W7・W8・W9・W10」、「Ultra Light・Extre Light・Light・Regular・Medium・Demi Bold・Bold・Extre Bold・Ultra Bold・Heavy」「超極細・極細・細・中細・中・中太・太・特太・極太・超極太」などがあります。
基本的には太い書体は目立たせる部分、細い書体は文字のサイズが小さくても潰れにくいので、説明文などの長文や小さい文字に使うのに適しています。
漢字など、画数の多い文字は書体を太くしてしまうと、可読性が低くなることがあるので、路面標示デザインの際に、それらを考慮して書体ウエイト(太さ)を決める必要があります。
上記の文字は、同じ書体のウエイト(太さ)違いです。右の字は太く、一件目立つように見えるかもしれませんが、画数が多いため赤丸部分の空間が狭く、可読性が高いとは言えません。
左の字は細く赤丸部分の空間部も広く取ってあり、2つの文字を比較すると左の字のほうが可読性が高いことが言えます。
路面標示での書体ウエイト(太さ)の選び方として、設置目的、対象(人・自転車・車)、耐久性などを考慮しつつ可読性の高い書体ウエイト(太さ)を選びましょう。
路面標示において書体の選び方、書体ウエイト(太さ)の考え方のポイントです。
情報伝達を目的とする路面標示は、読みやすさや誤読のしづらさを重視してシンプルなゴシック体を基本的に選ぶことをお勧めします。
また車やバイクなど走行速度が速く手前で視認する状況では、他の書体よりもゴシック体は可読性が高いです。
路面標示は、書体ウエイト(太さ)が細すぎると耐久性が低くなり、画数が多い漢字などは太すぎると可読性が低くなる傾向となります。
耐久性と可読性のバランスを考慮しながら書体ウエイトを選ぶことをお勧めします。
今回は「路面標示デザインの考え方 [書体編]」をご紹介しましたが、書体以外にも路面標示デザインに影響を与える「設置目的、設置環境、配色、対象者、情報量、サイズ」などの構成要素を複合して考えながらデザインを決めることになります。
この他にも「路面標示デザインの考え方」のコンテンツ追加をしますので、デザインを決める際の参考になればと考えています。
※自社の屋外路面シート製品の提案実績、販売実績を参考にしてこの記事を作成。
路面標示デザインの考え方
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