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路面標示デザインの考え方
路面標示デザインの考え方[ 対象者編 ]
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路面標示デザインの考え方
路面標示のデザインを決める際に、どのような事を考えていますか? 「目立たせたいので配色は赤と黄の面積を大きくしよう。」「読みやすいように文字サイズを大きくしよう。」など様々な事を考えてデザインを決めているかと思います。
もし勝手気ままに路面標示をデザインした場合、「目立つこと無く気づかれない」「文字が小さすぎて読めない」「必要な情報が記載されていない」など、路面標示として機能しない可能性がおきます。
それを避けるために、路面標示のデザインに影響を与える『設置目的、対象者、設置環境、配色、書体』などの基本となるデザインの考え方を知る必要があります。この記事では『配色』のデザインの考え方をご紹介します。
目次
路面標示は、主に対象者へ必要な情報を伝達するという目的で設置されます。例えば「車のスピードを落として欲しい」「観光客を美術館へ誘導したい」「スポーツイベントを告知したい」などです。
的確に情報を伝達をするには、「図や文字が認識できる。図や文字が読める。」つまり『視認性・可読性』が重要です。
この『視認性』とは路面標示が発見しやすいことや目立つことを示し、『可読性』とは路面標示の図や文字が見みえる、読めることを示しています。『視認性・可読性』の両方を兼ね揃えたデザインにすると的確な情報伝達ができます。
上図のような『設置目的、対象者、設置環境、配色、書体』など様々な構成要素を考えながらデザインをすると『視認性・可読性』を満たす路面標示となります。
この後は、『配色』の基本的な考え方をご紹介します。路面標示デザインを決める際に、参考になればと思います。
『色の三属性』とは色の基本中の基本となる知識です。色の三属性を理解することで、色を使ったコミュニケーションを円滑に図ることが出来ます。
色の見え方は光源や物体によって変化しますが、色味とその濃淡や明暗をそなえている点で共通します。これは、色相、明度、彩度と呼ばれています。
色相、明度、彩度を合わせた『色の三属性』と呼ぶ、この3つの属性を正しく理解することが配色を極める第一歩となります。
3-2.色相とは
色相(しきそう)とは、赤・黄・緑・青のように、色を特長づける『色合い、色み』のこといいます。色相を円形に配置したものを色相環(しきそうかん)と言います。
色相環を見ていただければわかると思いますが、同じ赤でも、赤紫に近い赤や、橙に近い赤など、赤にもいろいろな種類があります。
色相環が頭にイメージされていることで、配色時に色を決めやすくなります。最初は、色相環をみながら配色を決めることをお勧めします。
明度(めいど)とは、色の明るさの度合いをいます。明度が高くなるごとに白に近づき、低くなると黒に近づきます。色同士を比較して、明るい色とか暗い色というように、色には『明るさ』の度合いがあります。
●この左右二つの文字は、どちらが読みやすいでしょうか?
もちろん右の文字ですよね。人は目立つものを優先的に見ようとする傾向があるため、読みやすい右の文字に自然と視線が集まったんです。
なぜ右のほうが目立つかというと、それは白と黒のほうが、グレーと黒よりも明度差があるので読みやすく、目立つと感じるからです。
反対に目立たせたくないと考える場合は明度差をわざとつけない事で形状がハッキリしないことになります。
文字や形状などを目立せたい、目立たせたくないなどのデザインを考える上では、明度差を考えてデザインする事が、目的を達成するポイントの1つとなります。
彩度とは、色みの強さや、鮮やかさの度合いをいいます。色みが明瞭な色は彩度が高く、くすんだ色は彩度が低くなります。ある鮮やかな色の彩度をどんどん低くしていくと、色みを感じない色に変化していき、最後には灰色になります。
一般的に、彩度が高い色は派手な印象を受け、印象に残りやすく、逆に彩度の低い色は、地味に感じ、印象に残りにくい色となります。各色相の最も彩度が高い色のことを原色・純色と呼びます。
●この左右二つのサインは、どちらが目立つでしょうか?
もちろん右のサインですよね。なぜ右のほうが目立つかというと、それは『赤色と黄色』の組合せのほうが、『薄紅色と黄土色』の組合せよりも彩度が高く派手に見える為、目立つと感じるからです。
目立たせたい場合は彩度を高く、目立たせたくない場合は彩度を低くするなど、目的に即した配色が必要です。
配色とは何かと言うと前述の、『色のしくみ』で説明した『色の三属性(色相・明度・彩度)』を考えながら2色以上の色を組み合わせることです。
例えば『明るく彩やかな赤色を文字に使い、暗く渋い青色を背景に使う組み合わせで目立たせよう』などが配色すると言うことです。デザインを通して何らかの目的を達成する為の手段の1つとして配色を考えることが必要です。
複数の色を組み合わせる『配色』には、いくつかのセオリーや考え方があります。例えば、色数、隣り合った色の組合せ方、色面積などが印象に影響します。
基本的な配色のセオリーを理解することで配色に関して悩むことが少なくなります。
「路面標示が周辺環境に同化して見えない」「路面標示の文字が読めない」「路面標示が目立ちすぎて周辺環境に整合していない」そのような状況では路面標示が効果的に機能しているとは言えません。
路面標示が効果的に機能する要因として『視認性・可読性』が最重要ですが、『形状・配色のキレイさ』『景観との整合性』なども重要です。これらを満たす路面標示をデザインする上で最適な『配色』とは何かについて考えていきましょう。
最適な『配色』は目的や対象者、設置環境、景観条例など様々な要因に影響するので、今回ご紹介する内容は、基本的な路面標示の配色を決める上で、指標の1つとなればと考えています。
路面標示の配色による「視認性・可読性」の影響
■色相と明度の影響
図1の様に色相差が大きく、かつ明度差も大きいデサインは「視認性・可読性」が高い路面標示となります。
図2の様に色相差が大きくても、明度差が小さいデサインは「視認性・可読性」が低い路面標示となります。
■同系色と反対色の影響
図3の様に同系色(色相の近い色)の配色、もしくは色数を制限した配色の場合は統一感があり美しい路面標示と言えます。
右図の様に反対色(色相が遠い色)や色数を多く使う配色の場合はアンバランスな印象を受ける傾向の路面標示と言えます。
「路面標示」と「設置路面の色」の配色による「視認性・可読性」の影響
■設置路面がアスファルトの場合
路面標示の『視認性・可読性』は設置路面の色に大きく影響します。アスファルトの色は濃いグレーの為、路面標示の色が濃く明度差がほとんど無い場合は、図5の様に路面標示とアスファルトとの境界部が見えづらくなります。
図6の様に路面標示の明度を低くすると路面標示とアスファルトとの境界部がハッキリして『視認性・可読性』は高くなります。
■設置路面がコンクリートの場合
コンクリートの色は薄いグレーの為、路面標示の明度が高い場合は図8の様に路面標示とアスファルトとの境界部が見えづらくなります。
図7の様に路面標示の明度を低い場合は路面標示とアスファルトとの境界部がハッキリして『視認性・可読性』が高くなります。以上のことから設置面の色により『視認性・可読性』が大きく影響されることがわかります。
マンセル値や日塗工やDICなどの色見本は、自分と他者との間で色を使ったコミュニケーションを円滑に図るためのツールの1つです。
異なる素材で同じ色を表現したい時には、色の共通認識が必要です。その際に色見本から色指定をすると、自分と他者との間で、色が共有され、色の間違いがおきません。
例)「文字を青色に修正して」などを指示した場合、自分と他者の考えている青色の違いが起きる可能性が高い。同じ青色と言っても緑よりの青と考えたり、紫よりの青と考えたり様々な青色のパターンが考えられます。色見本から色指定すると、自分と他者に共通した青色が認識できます。
特色(とくしょく)は、印刷においてCMYKカラー(プロセスカラー)では再現できない色を表現するために、インクメーカーなどにより、あらかじめ調合(調色)されたインクのことです。
CMYKカラーで再現できない為、インクジェットプリンターでは特色は再現できないことが多いです。(近似色にもならない事もあります)。
● 日塗工カラーチャート
『日塗工』とは一般社団法人日本塗料工業会の定める色番号の事で、日本工業規格いわゆるJIS規格に準基した色も含まれているため、古くから日本の塗装業界でのスタンダードとして塗料の色指定に使われています。
色見本帳は2年に一回更新されており、廃番になる色番号もあるので、『日塗工』での色番号指定があった場合は何年度版かの確認が必要です。
● DICカラーチャート
『DIC』とはDIC(ディー・アイ・シー)株式会社が製造する日本の印刷物の色指定に良く使用される印刷用の特色インクのことです。
『DIC』の特色インクの色指定に使用されるのが、DICカラーガイドと呼ばれる特色インクの見本帳です。『DIC』は印刷物などグラフィックの分野や、インテリア・プロダクトなどで幅広く使用されています。
● マンセルカラーチャート
マンセル値とは、マンセル・カラー・システムで用いられる色を数値化したものです。それまでは色といえば、赤とか青とか名前を付けて呼んでいましたが、曖昧であり誤解を招きやすいです。
それを数値化することにより、あらゆる色を数値だけで表現することが可能になりました。
マンセル値は色相、明度、彩度の3つで表現されています。色相はR(赤)、Y(黄)、G(緑)、B(青)、P(紫)の5種類を基本として時計回りに等間隔に配置されています。
さらにその間にYR(黄赤)、GY(黄緑)、BG(青緑)、PB(青紫)、RP(赤紫)が挿入されており、この合計で10種類から成り立っています。それに明度と彩度が加わります。
マンセルカラーシステムの色を数値で表せる事のメリットは、指定する事でお互い共通の色認識が持つことが出来、同じ色が再現できるということです。
今回は『路面標示デザインの考え方 [配色編]』をご紹介しましたが、『配色』以外にも路面標示デザインに影響を与える『設置目的、設置環境、対象者、書体』などの構成要素は多くあり、それらを複合して考えながらデザインを決めることになります。
この他にも『路面標示デザインの考え方』のコンテンツがあるので、デザインを決める際の参考になればと考えています。
※自社の屋外路面シート製品の提案実績、販売実績を参考にしてこの記事を作成。
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